徒然草(岡山・東京・山崎かずみ)

    あなたを元気にしたい、それが私の願いです。

    これから始まる。

    淡い恋の物語は夜空に星が輝いている数だけあり、人の心には悲しい想いや嬉しい想いが刻み込まれて行きます。 その想いに縛られて新しい恋に踏み出せないのは、未来の可能性を否定してしまうことです。 しかし、人は機械ではないから昔の恋を忘れられないのは、仕方が無いことなのかもしれません。

    激しい雨が降り注ぐ中、事務所にお越しになったEさんのお話です。 EさんはYさんと言う男性が気になっているのですが相手の気持ちが分からず、どうしていいのか分からないと言う御相談でした。

    溢れそうな想いを今すぐに伝えたいけど伝えられない、好きだからつなぎたい手のひらには幸せが一杯詰まっているはずなのに、その手をつなぐことすら出来ないでEさんは悩んでいるのです。

    Eさんはアラサー世代ですが、今のところは結婚の予定も無く仕事に打ち込んでいました。 男性不信気味なせいで男性と会っても恋心も起きないし、友達や同僚といる時間が楽しい毎日を過ごしていました。 そんなEさんが友人であるDさんの結婚式に出た時、隣に座ったYさんと言う男性がヒトコトも口を利かずに静かにしていました。

    そんなYさんを見てEさんは「感じ悪いなぁ~。」と思い、余り見ないようにしていました。 しかし、席が隣同士なので話しかけないのも変だと思い自己紹介をしたのですが、Yさんは自己紹介だけで再び口を閉じてしまいました。

    Eさんは挨拶に来たDさんに「Yさんて、静かな人ね?」と聞いたら、「アハッ、あなたとお似合いかと思って、席を隣にしてみたの。」 Eさんは「どうしてそんなことするの、こっちは気まずくてしょうがないじゃない。」 EさんはDさんに軽く文句を言いました。

    Dさん曰く、「実はね、Yさんは女性嫌いと言うか、女性と付き合えない人なの。 以前付き合っていた女性に原因があるらしいんだけど、詳しいことは誰も知らないの。 あなたなら、Yさんの心を溶かせるかと思って…。」

    Eさんはそう言われて、自分のことを言われているようでした。 Eさんは昔付き合っていた男性が浮気者で、「結婚してやるから浮気を認めろ」と言うような彼と付き合っていたのです。 当時は若かったからと記憶を封印していたのですが、その話を聞いて昔の想い出がよみがえり男性不信の自分とダブって見えたのです。

    その話を聞いてからEさんはYさんのことが気になり始めて、二次会では自分から隣の席に座ったそうです。

    Yさんは「僕の隣にいてもつまんないだろ、他の人と話すればいいのに?」 Eさんはすかさず、「あぁ~、初めて自分からしゃべってくれましたね~。」と話しながらYさんを見つめました。 Yさんは「女性と話すのは久しぶりで、なんか恥ずかしいな。」と照れながら笑顔になりました。

    Eさんは「Yさん、笑えるんですね。 笑顔でいた方が素敵ですよ。」 そう言ってお互いが改めて自己紹介してからは、何故か二人の会話が弾み始めました。 そして連絡先を交換したのですが、Eさんは会う度にYさんを好きになっていくけれど、彼がどう思っているかが全然わからないから恋なのかどうか不安だったのです。

    私はEさんに、「彼には好きな人がいるようなので、ハッキリと聞いた方がイイと思います。 その女性と付き合っているわけじゃないけれど、聞かないと長い春になるかもしれません。 彼はあなたのことが好きだけど、不安な部分が視え隠れします。 ただし、理由を聞けたアトは、きっと一生のパートナーになれるはず。」

    私がこう話した理由はEさんだけでなくYさんの心も、真実に向き合っていないように視えたからです。 Eさんは明るい女性ですが本当はナイーブで、自分の気持ちを隠してしまうタイプです。 Yさんに好きな女性がいることを確認するのは勇気が要ることですが、Eさんは思いきって彼に聞くことができたのです。

    Yさんが女性に心を閉じていた、本当の理由とは…?

    YさんにはRさんと言う結婚を誓い合った女性がいたのですが、Yさんは時間をきっちりと守るタイプ~Rさんは適当でいいと言うタイプ、まったく違う二人でしたが凸凹コンビで凄く仲が良かったそうです。

    今から3年前の春にYさんはRさんと、二人で住む予定の新居を探しに行く予定でした。 YさんはRさんが今日くらいは時間を守るだろうと思って携帯を車に置いて、不動産屋さんで待っていたそうです。 しかし、時間が過ぎても来ないのですがRさんは遅刻の常習者なので、Yさんはいつものことだと気にも留めなかったそうです。

    ところが1時間を過ぎた頃、さすがに遅すぎると思って車へ携帯を取りにいくと着信ランプが光っています。

    Yさんは「あぁ、連絡くれたんだな。」と思って留守電を聞くと、「もしもし~、ごめ~ん。 今そっちへ向かっているから、もう少し待ってて~。 ドン!」 Yさんは留守電の最後に変な音が入っているような気がしましたが、取り敢えず不動産屋さんへ向かっていると見慣れない番号から電話が掛かりました。

    「ん?」と思いながら出てみると、それは警察からで「Rさんが、お亡くなりになりました。」と言う電話でした。 Yさんは直ぐに病院へ行きましたが、Rさんは信号無視の車と衝突して即死だったそうで、留守電に残っている声は彼女の最後の肉声だったのです。

    Yさんは「もしもあの時、僕が彼女を迎えに行っていたら…。 それに留守電、最後の声だったのに消しちゃったんだ…。」

    この一件が彼自身を縛り付けて、女性と付き合えない状態になっていたのです。 Yさんは真面目できちんとしている分だけ責任感が強く、Rさんが亡くなったのは自分のせいだと思い込んでいたのです。

    Yさんが女性に心を閉じていた理由を聞いたアト、EさんはYさんの心の傷を一緒に癒して行こうと決められたそうです。 この二人の恋物語はこれから始まるのですが、離れることなく一生寄り添っていく素敵な人生になると思います。

    あなたは相手の心の傷を癒す、そういう想いがありますか?

    (*_*) ソウカァ…。
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