徒然草(岡山・東京・山崎かずみ)

    あなたを元気にしたい、それが私の願いです。

    手術。

    おはようございます。 人は知らないことを知りたくなる欲求、それを好奇心などと、呼びますが、人は興味が少しでも出始めれば次々と知りたくなります。 この好奇心が無くなってしまえば歳を取った証拠で、心が若ければ好奇心が失われることはありません。

    寄付の神様と知り合ってから医師の仕事を垣間見ることが増えたのですが、それにより医学的なことを書いて余計な不安を除去出来たり、病気や医学を理解することで安心できたりと言う人が増えれば、それは良いことではないかと思います。

    今日は手術についてですが、普通に生活していれば手術とは無縁の場合が多く未知の世界だと思います。 手術は用手的に創傷あるいは疾患を制御する治療法で、主に生体へ侵襲を加えることを言い、通称&略称としてオペとも呼ばれるのですがOperationに由来しています。

    手術の目的は病態の制御及び失われた機能の回復で、直接的ではなく間接的に治療へ繋がる手術もあります。 「切除」⇒病巣を切って取り除く手術、「形成」⇒組織や器官の形を整える手術、「検査」⇒内視鏡や画像診断などの非侵襲的方法で診断が確定できない場合に行われる手術、このように手術には目的が様々にあります。

    そしてクレーマー全盛の昨今では「患者への説明と同意」が必須条件で、検討結果は原則として全て患者本人に伝えられます。 患者はその情報を基に、どのような手術になるのか、別の治療法を希望するのか、自らの意志で選択することが求められます。

    外国並みにクレーマーが増えて来たからインフォームド・コンセントの概念が普及して、治療方針については患者自身が十分に納得した上で、自らの意志で最終決断を下すことが望ましいとされ、セカンド・オピニオンとして他の医師に見てもらうことも一般的になりつつあります。

    そして手術の流れとしては「術前管理」として手術の安全性を高める為に、可能な限り全身を良好に保つことが必要です。 日帰り手術も増えてきましたが、原則的に手術以前に入院の上で全身の管理を行います。

    次に「術前計画」として手術を行う医師、術中全身管理を行う麻酔科の医師、手術に関わる看護師らによって、患者と手術に対する周術期管理計画が立てられます。

    そして「術前処置」として全身麻酔が予定されている場合、麻酔導入時の誤嚥を予防する為に手術前の一定期間は絶飲食となり、腸管内の清浄化を目的に下剤が投与されます。 手術部位の剃毛が昔は行われていましたが、今は剃毛により皮膚感染が増加することが明らかになり、一部の例外を除いて行われていません。

    手術室へ入る直前に気道分泌の抑制~鎮痛~手術に対する緊張の緩和を目的に、抗コリン薬~鎮痛薬~鎮静薬が投与されますが、これらを前投薬と呼びます。 (最近は、なるべく行わない方向へ進んでいます。)

    いよいよ「入室」となりますが、日本の手術室は中央集中型で欧米のように診療科ごとに手術室セクションがあるわけではなく、中央手術部として纏められています。 入室する際は外界からの付着菌等を少なくする目的から、スタッフは手術着に着替え~靴を履き替え~帽子とマスクを着用します。

    手術着の色が「緑か青」に限定されているのは、手術中に赤色ばかりを見て色残像が生じることを考慮して、視覚を正常に保つ為です。

    「麻酔」が掛かれば手術の始まりで、麻酔には局所麻酔(浸潤麻酔・脊椎麻酔・硬膜外麻酔)と全身麻酔があり、目的により選択されます。

    意外と知られていないのが「手洗いとガウンテクニック」で、外来菌による感染を防ぐ為に、術者である医師、助手を務める医師、手術介助(器械出し)の看護師など全員、手から肘までと胸からお腹までの洗浄を行ってから、滅菌ガウン&滅菌手袋を装着します。

    手洗いの後に滅菌されたガウンを着ますが、手洗いした手が再び汚染されないように、介助者の手を借りて着用します。

    「消毒・清潔野形成」は切開を行う部位を中心に、ポビドンヨード~アルコールによる消毒が行われ、消毒が終わると消毒した部分の周囲を滅菌されたシーツで覆い清潔野を形成します。

    そして「執刀」まで無事に来たら手術の半分は成功したようなものですが、今は一人で手術することはなく、メインとサポートの二人ですることがほとんどだから、TVドラマみたいな作り話を信じてはいけません。

    今の手術は二重三重に保険を掛けてやるから、余程の未熟な医師がコンビを組まない限り執刀ミスは少ないです。 助からないのは癌が予想より大きかったとか~手のつけられない状態だったなど、手術以前にダメだったと言うことが多いです。

    御家族(本人)からすれば「手術⇒助かる」との期待が大きすぎるから、「助からない⇒告訴してお金を取ってやる」となり、こんなクレーマーのおかげで助かるのに手術を受けられないケースもあり、万が一にも助かる可能性を潰してしまうのは患者自身です。

    なお、手術中は緊迫した状態だとマズイことが多く、リラックスして冗談が飛び交うようだと大丈夫なことが多いです。 今は長時間の手術だと途中に休憩を入れてコーヒーを飲んだりマッサージをしたり、手術中も執刀医の好きな音楽を掛けたりしています。

    最後に麻酔についてですが、麻酔はコントロールできるから手術後に一度患者自身を目覚めさせ確認するので、TVや映画みたいに付き添いの人が「気が付いたの!」と驚くシーンは嘘です。 目が覚めないと医師も次の手術や診察へ行けないから、麻酔により何時間も意識が戻らないのは作り話です。

    あなたは手術について、理解していますか?

    (=´ー`)ノ ヨロシク
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