徒然草(岡山・東京・山崎かずみ)

    あなたを元気にしたい、それが私の願いです。

    流出。

    おはようございます。 昨日は久しぶりに普通のブログになりましたが、原子炉以外のことを書いていると感動があると自分でも思います。 ところが深刻な状態が報道されているように、海への汚染水が止まらないと言う最悪の事態が続いています。

    私は嫌になるくらい原子炉内部の様子が分かるのですが、現場にいる警察と消防と作業員(技術者)の懸命な働きにより、この程度で収まっていると考えてください。 無責任にワイワイ騒ぐ人がいるかもしれませんが、私はあの程度の流出で収まっている方が不思議だと思います。

    今のままなら「昔はね、東北地方でも海水浴ができたんだよ。」と、未来で子どもたちへ話すことになりそうです。 多くの人が勘違いしているけれど海水は流れて拡散しますが、砂浜は動かないから放射性物質に侵されたままで海水浴なんてできるはずがありません。

    震災の後から私のブログを読んでいる人は原始炉内部の構造は大まかに分かっていると思いますが、汚染水が「どうして流出しているのか?」と「どうして流出個所が特定できないのか?」について、表に出ない(出せない?)部分から解説してみます。

    まず、原子炉と言うのは地上に出ている部分だけではなく地下部分もかなりあり、直列に建造しているので一般で言うライフラインも全て繋がっています。 そして隣のタービン建屋に原子炉からの蒸気が送られタービンを回して発電、その後は放射性物質が含まれた蒸気が地下に造られた海水プールの中にある、コイル状もしくは波状のパイプ内で冷やされて水に戻り再度原子炉で使用します。

    ある意味で発熱は半永久に続いて水も節約できる究極のエコとも言えますが、事故が起きた時に素早く対処できなければ人類にとって最強の敵になるのが原子力です。

    さて、今回の汚染水が「どうして流出しているのか?」と言えば、それは当たり前と言うか当然のことながら「破損、亀裂、欠損」の流出三兄弟が揃っているからです。 しかも圧力容器や格納容器が破損していないと言い続けているので、今更「実は破損しちゃった」なんて言えません。

    その流出個所に全く見当がつかないかと言えばそうではなく、現場で作業している人たちはおそらく「圧力抑制室もしくはそれに伴う配管のどこか」と言う感じで、おおよその見当を付けて修理に取り組んでいるはずです。

    では、2つ目の疑問である「どうして場所の特定ができないか?」については当たり前で、今の原子炉の下の方は水浸しで幼児用プールみたいになっているのに、作業が進む訳無いし~作業しづらく大変だと思います。

    原子炉の地下部分はコンクリや鉛板で固めた箱型になっていますが、そこはむき出しと言う訳では無く、防塵用ペンキなどで保護して火花が出ないようにしてあります。 そして海の近くだから防水対策もしてありますが、防水対策が完璧であればある程~逆に言うと水を逃がさないのです。

    排水溝や排水用ダクトなども設置してあるでしょうが、地震で口が歪んでいたり潰れていたり、ゴミで塞がっていたりと正規の排水ができなくなっています。 そうなると当然のことながら水が地下部分に溜まり続けて、最低でも幼児用プールくらいの深さになっています。

    だから普通は排除してから作業するのですが、この水を下手に排水してしまうと海へ流れ出るからそのままで作業していたのです。 ここで勘の鋭い人なら「でも、原子炉内に水が無いから放射線が出ているのに、どうして原子炉の下の方へ水がたまるの?」と思うかもしれませんが、「い~、質問ですね。」と座布団3枚です。

    ここで思い出して欲しいのですが当初はとにかく燃料棒を冷却する為に、ヘリや消防車などから水をドンドンと原子炉へ注ぎ込んでいました。 あれにより燃料棒が冷却できたのは自衛隊や消防隊の命がけの行動があったからですが、あの時に水は燃料棒にだけ掛かっていた訳ではありません。

    固体なら狙い通りに行くかもしれませんが液体である以上は全部が全部とは行かず、外れた分は当然のことながら原子炉周辺に落ちて行きます。 しかも消防車から1000トンとか2000トンと言う水を定期的に放射していたのですから、それが地下部分にドンドンと溜まるのは必然です。

    圧力抑制室や配管などはとっくに「破損、亀裂、欠損」の流出三兄弟だから、そこから出ている放射性物質の水と混じり汚染水になっているのです。 水の中にある物体から水が漏れている個所を特定するのは、お風呂の中へ透明なビーズを入れて「目視で探す」のと同じことです。

    つまり、今の状況は「大量の水があるから場所の特定が困難で打つ手無し」だから、いっそのこと全部排水してしまおうと言うことです。 早く原子炉を止めればよかったのに視察やアメリカ排除で後手後手に回り、そして無茶な放水作戦を消防隊に押し付けた結果が汚染水の流出です。

    人類の歩みとは過ちの連続かもしれないけれど、その過ちを乗り越えることで成長してきたのも事実です。 今回は色々な選択肢を誤ったことから始まった人的&作為的な大惨事ですが、その事実をきちんと踏まえてやり直すつもりなら復活は意外と早いです。 私は復興に関しては色々とアイディアがあるのですが、人類に与えられた「知恵」を使いこなすのが今だと思います。

    本来ならば桜が見事に咲き誇る季節ですが、東北の方々は今も冬を越せずに心は冬のままで先が見えないかもしれない状態を、救うことができるのは多くの人々の温かい思いやりだから、私は一日も早く元の生活へ戻れることを切に願っています。

    m(__)m
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